雑多に、思いつくままに


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先日、NHKのひるはぴに星のり店さんが取り上げられました。
宮城ケーブルテレビ「マリネット」さんのナイスな取材でした。

後半で星さんが放射線問題について触れられていたので、それを抜粋します。

「今、ネットで注文が入るのが東京から西の方ですかね。
東北、特に今まで買っていただいていた宮城の方からは、注文がかなり減っております。
風評被害によって、放射能の数値が出なくても、かなり低いんであっても、宮城県産、東北産というだけで嫌われています。」

放射線の海苔への影響を少し考えてみましょう。

比重が水1に対して、セシウム1.9ですから、セシウムは沈みます。
そして、海苔は海面養殖ですから、セシウムの影響はほとんどないと考えてよいでしょう。
もちろん、海流がありますから撹拌される可能性はありますが、沿岸や沖合ではその影響は乏しいと思われます。
実際に、星のり店さんは、昨年末からの25回の放射線検査で全て未検出(正確には、下限が10ベクレル/kgですので、10ベクレル/kg未満)です。

一方、検出されている魚については、違った生態を持ちます。
例えば、スズキの場合、時期によっては河口の方にも行ったりします。
川は海ほどの広さがないため、川の中でセシウムがある場所には、そのまま残留している可能性は高いと考えられます。
また、川でも生きられる魚は、ミネラルを体に保持しやすいようにできていますから、スズキの体内そのものにセシウム(結合がカリウム類似)が残りがちです。
しかも、魚を餌にするため、餌だった魚が取り込んだセシウムを取り込んでしまう生体濃縮も起こります。
そのようなわけで、スズキはセシウム量が高く出がちなのでしょう。
(同じく魚を餌にするものでも、マグロなどはスズキと異なる生態ですから、一概には比べられないとは思います。微量は既に聞いていますが、まだ高い数値のものは聞いたことがありません。)

以上から判断すれば、海苔は安全、スズキなどは場合によっては注意が必要で、継続的に数値をモニタリングする必要があるでしょう。

しかしながら、大半の消費者の見方は、「東北産の食品は全部クロ」というもののようです。
数値が高いスズキなどだけではなく、数値が低く相対的に極めて安全であると考えられる海苔にまで影響が及んでいることから、消費者は定量的ではない感情による判断を主に行なっているのでしょう。
つまり、ある種の色メガネで被災地産の食品を見ていますが、そのメガネは行動経済学で言うところの利用可能性ヒューリスティックだと考えられます。
Wikipediaより。

利用可能性ヒューリスティック(availability heuristic)、想起ヒューリスティック

想起しやすい事柄や事項を優先して評価しやすい意思決定プロセスのことをいう。
英語の訳語である検索容易性という言葉の示す通りのヒューリスティックである。

僕達が意思決定の参考にするものとして、メディアの存在は極めて大きいです。
そして、「定量的に検証した結果、○◯は安全で☓☓は要注意だ」と伝えるよりは、「被災地の食品は危険だ」というレッテルを貼った方が、想起しやすい事柄のため、優先して評価されます。
地元メディアが苦労して伝える正確な報道よりも、大手メディアがサボって作った薄っぺらい報道の方が、内容はショボくても影響力が大きくなってしまうのでしょう。
ですから、河北新報も全国紙も読める宮城県であっても、定量的判断ではなく定性的判断がなされてしまい、県内からの注文が来なくなっているのでしょう。

難しい問題ですが、楽観的な見方としては、時間による解決です。
いわば「人の噂も七十五日」ですね。
利用可能性ヒューリスティックを逆に考えれば、報道が下火になってくれば、消費が回復する可能性もあります。
報道が下火ということは、「被災地の食品は危険だ」という想起回数が減るとともに、その優先度も下がります。
ですから、薄っぺらくて解りやすい被災地報道が減少していることは、悪いことばかりではないのだとも思います。
例として、中国産食品を取り上げておきます。
ギョウザ事件があった08年(8月でした)、その翌年の09年は輸入量が落ち込んでいますが、その後は回復しています。
社会実情データ図録より。
120623中国産食品結局、事件後しばらくたってからの消費者は、中国産食品を選んでいるわけですね。
それは、報道が減って、危険性を過小評価しているからだと思われます。
本当に考えなければいけないのは、

・あの時の中国産食品の何が問題だったか
・何故、そんなことが起こったのか
・注意すべき食品はどれか
・今は改善されたのか

などでしょうけれども、そんな検証もされず、「中国産食品は危険」というレッテルのみで、しかもそのリスクに対する意識も減少しているのが現状です。

僕自身、偉そうなことは何も言えず、中国産食品に対してはほとんど考えることはありませんでした。
しかし、今回は当事者意識を持って、もう少し考える消費者になろうと思います。
もちろん、放射線量に対する基準は各自が持つべきですから、その結果として、被災地産を避ける選択肢もあると思います。
特に、小さい子や高齢者が家族にいれば尚更です。
ただ、「被災地産=危険」というバイアスでの判断から、一歩進んだところで選択して欲しいという気持ちがあります。
しかも、中国産食品問題のように手を抜いたものであればパスされるのは当然ですが、今回は手間ひまかけて作り実際にいいものができているのにスルーされています。
僕は能登育ちなので美味しい魚や野菜は食べてきていますが、三陸産でも負けないぐらい美味しい物が沢山あることを知りました。
(魚種が結構違うということもありますね!)
歴史的にも、例えば七ヶ浜には縄文の遺跡や貝塚が多くあることから、非常に古くから海とともに生きていることが解ります。
被災地の食も、ぜひ選択肢に加えて欲しいですね。


おまけ

読み返すと、海苔擁護記事っぽいですが、海苔だけ助かればいいという話ではなく、煽られない消費者になろう!ということが言いたかったのでした。
そして、スズキのピンチは、実は海苔漁師にとってもピンチです。
海苔シーズンが終わった後は、たいていの海苔漁師は、自分の漁場でとれる魚を獲りに行きます。
その中には、スズキも大きな割合を占め、大切な収入源となっています。
ですから、スズキのセシウム量が下がって、多くの海苔漁師にとって良い漁場環境になって欲しいものです。
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【2012/06/23 14:44】 | 七ヶ浜(星のり店の話題が多め)
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